ボーリングの匠 - 第10回 「ボーリングを続けて半世紀」 東邦地下工機株式会社|工事機械(ボーリングマシン等)の製造販売

ボーリングの匠ARTISAN

第10回 「ボーリングを続けて半世紀」

株式会社 名岐地質 代表取締役会長
愛知県一宮市浅井町河端字広畑45
TEL 0586-51-0514

榊間 静 (Sakakima Shizuka)

匠の紹介

「ボーリングの匠」第10回は、愛知県にあります、株式会社 名岐地質の榊間さんをご紹介します!

榊間さんは、地質調査技士資格を第一回試験(昭和41年)にて取得し、これまでに地質調査を中心に、温泉ボーリング、東京湾アクアライン海底調査工事、東海道新幹線地質調査、など数多くの現場に携わってきています。
また、当時は右側操作だった東邦のボーリングマシンD0型ですが、榊間さんをはじめとして、左操作マシンの要望もあり、その初号機をこちらへ納めています。

さて、通行料の大幅値下げなどで再び注目されている東京湾アクアラインですが、榊間さんは、その建設に至る地質調査に携わっており、その作業ではなかなかの苦労があったそうです。 当時、作業台船の上で東京オリンピックを観ていた記憶があるということですから、昭和39年の話になります(約45年前です)。
場所はおおよそ、現在の海ほたる付近で水深70m+30m=100mの調査を数本行っています。
その小さな作業台船までは日々通うのですが、霧が濃い日などは千葉へ遠回りして行くことも。
また海上が荒れた際に、他の船との衝突にも気をつけなければなりません。
実際に、船とぶつかりボーリングマシンが壊れるなどということがあるからです。
猛烈な風のなかでの作業も多く、毎日の過酷な現場が目に浮かびます。
そのような現場でも、コア取りはきれいに・仕事は迅速にとのこと。さすがです。

そして現在は、息子さんにバトンタッチし、これまで培ってきた技術をしっかり伝えていくのが使命とのこと。

今後も探究心・研究心をもって地質のアドバイス・相談にのっていきたいです。

と榊間さん。

これからもお体に気をつけて頑張ってください!

インタビュー

記  者:ほかに心に残ったお仕事はございますか?

榊間さん:東海道新幹線の調査や黒部ダムでのグラウト(※1)は今でもはっきり覚えているよ。

東海道新幹線の地質調査は、箱根の山を中心に行いました。
今のロッドは3.0m単位などきっちりと作られていますが、当時は2.98mだったりで、いわゆる「手作り」でした。
なので、検尺の時に困ったこともありましたね。
また、ケーシング(※2)などは鉄工所に発注してから作ってもらうことが多く、すぐに製作できないこともあって、出来上がって届くまでの間、近所の農家で農作業の手伝いをしていたなんてこともありましたよ。

また、冬の黒部はとにかく寒くて厳しい作業環境でした。
寝不足でトロッコにひかれて亡くなった方も多かったですし、坑内のあちこちが穴だらけなので、勝手にひとりで入っていったら、帰って来られないこともあったそうです。 ほんと極寒の現場でした。

記  者:あらためて当時の黒部での作業環境のすごさが伝わってきました。

本日は取材のご協力どうもありがとうございました!


(※1)グラウト
グラウチングともいう。一般にセメントミルクやモルタルを空隙に充填することをいう。ここでいう、ダム建設では基礎地盤の改良などのためセメントミルクを用いてグラウチングが行われる。 グラウチングにはカーテングラウチングやコンソリデーショングラウチングなどがあり、それぞれ以下の通りとなる。

【カーテングラウチング】
ダムの基礎岩盤にカーテン状にグラウチングすることによってグラウトカーテンを形成すること。これによって遮水性を高め、貯水地からの漏水を防ぐ。通常ダム直下や両翼部で行われる。

【コンソリデーショングラウチング】
コンクリートダムの基礎岩盤について、地表からおおむね5~10mの比較的浅い範囲を対象に行われるグラウチング。基礎岩盤の強度や変形性を改良することが主な目的であるが、遮水性の改良にもなる。

(※2)ケーシング
崩壊性地盤など保護なしで孔壁を維持することが困難な地質状況の時に用いられる管をいう。
また、二重管工法用の外管として使用される高強度のケーシングなどもある。

現場写真(標準貫入試験)現場写真(標準貫入試験)
榊間氏と東邦マシン榊間氏と東邦マシン
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