有限会社 安部ボーリング 代表取締役
宮城県仙台市青葉区みやぎ台31-11号
TEL 022-394-7114
安部 五郎 (Abe Gorou)
「ボーリングの匠」第14回は、宮城県にあります、安部ボーリングの安部さんをご紹介します!
安部ボーリングさんは、地質調査を専門に、
東北を中心に、北陸、関東ぐらいまでの範囲で仕事をされています。
安部さんはコアリングについて「常に満足ということはない」と語ります。
地質によってそれぞれが異なるため、常に新しい環境で作業をしているからであり、
同じコアをあげてくるにしても、キレイで乱れのないコアに仕上げなければならないとのこと。
室内試験(※1)で学んだことも多いそうです。
どの解析試験をとってみても、それぞれに明確な目的があり、
実際にマシンを動かす時も、(そのことを念頭に)はっきり意識を持って取り組む必要があり、
要は、今している仕事(作業)が何の解析を目的として行われているものなのかを知っておくということ。
この心構えひとつで成果品の中身はずいぶんと変わってくるそうです。
また、コアの採取のなかで、いかに乱さないでありのままの地層を伝えるか? これが大事です。
地層には必ず空隙が存在するため、コア採取率100%というのはありえないのですが、
「どこが悪いのか?」これをはっきり判断し、「提示する」のが我々の「義務」です。 とのこと。
そして、この先はなんとかして若い世代にもこのボーリング技術を継承してもらいたいです。
ただ、助手は親方が突然いなくなったら困ってしまうので、
景気が回復するまではなんとか皆と一緒に頑張っていきたいです。
と安部さん。
これからもお体に気をつけて頑張ってください!
記 者:これまでに苦労されたお仕事はございますか?
安部さん:入社して2~3年目の頃、現在の岐阜県・恵那山トンネルの地質調査をおこなった時でしょうか。
車を降りて山中を歩くこと30分、標高1000m近くになる現場でした。
機械はヘリ運搬でしたが、それ以外は全て人力運搬です。
三人編成の班で、当時一番若かった私は燃料・灯油等を背負い、中堅の先輩が弁当類、そしてボーリングの機長は手ぶらです。
硬い花崗岩の破砕帯を300m以上掘るため、1日1m程度しか進まない日がほとんどでした。
また、ジャーミングをおこした時などは、モンケンを3個連ねて、20人くらいの住人の力を借りて
かち上げを手伝ってもらったこともありました。
2年近くを要した、とても難しく、過酷な現場ではありましたが、
この経験があったからこそ今の私のボーリングがあると思っています。
記 者:仕事のなかでいつも心掛けていることはございますか?
安部さん:安全対策や周囲環境への配慮はもちろんですが、やはり繰り返しになりますがコアのことだと思います。
例えば、青森県・六ヶ所村の原燃の地質調査では、泥岩で軟質な地層であったため、
いったんはサンプラー内に収まるものの、引き上げてくる段階で抜き落ちてしまう。
そこでシューの先端に加工を施したり、長さを調整したりしていかに引き抜く時に真空状態を作らないようにしたりしました。
現場ごとにオリジナルな加工を加え、地質条件に合わせて、数ミリ単位で先端チップを修正したりもします。
私たちがメーカーと一緒になってボーリングの技術力を向上させていくことが必要となります。
いつも相談に乗れるメーカーであってほしいですし、これはボーリングの技術力向上のためには必須条件と考えています。
記 者:ユーザーとメーカーが一体となることはとても大事なことですね。
本日は取材のご協力ありがとうございました!
(※1)室内試験
室内土質試験ともいう。
地層から採取した撹乱試料について、
土質の粒土、土粒子の比重、土の含水量などを土質試験にて解析し、土壌物性の評価に利用する。
試料を用いる室内試験は、広い地盤を対象とするものでないだけに、それなりの解釈が必要であるが、
試料や試験の条件を自由に変え、様々な条件に対する工学的特性を把握できる。
一方、地盤の性質は「室内試験」では充分に把握できないので、現場の自然なままの位置・深さで試験を行い、
これを「原位置試験」といい、主なものとして、標準貫入試験や現場透水試験などが挙げられる。
(補足)まず、地盤調査の目的を達成するためには、
①ボーリングマシンなどで地中に孔をあけながら連続的に試料(コア)を採取し、
②採取試料を肉眼で直視観察することで、地盤の状態および堆積特性(断面)を判定し、
③さらに採取試料を室内試験に供することによって、土や岩の工学的諸性質を明らかにすることである。
そしてこれらは、設計・施工時に直接かかわる重要な情報となる。