ボーリングの匠 - 第19回 「その一瞬を逃さない」 東邦地下工機株式会社|工事機械(ボーリングマシン等)の製造販売

ボーリングの匠ARTISAN

第19回 「その一瞬を逃さない」

ダイチ株式会社 取締役会長
富山県富山市一本木259-1
TEL 076-451-6601

田中 実 (Tanaka Minoru)

匠の紹介

「ボーリングの匠」第19回は、富山県にあります、ダイチ株式会社の田中さんをご紹介します!

ダイチさんは、斜面防災工事や地質調査を専門とし、富山県を中心にお仕事をされています。

田中さんのご出身は九州・熊本県で、
19歳の時に、川辺川ダム建設の地質調査がきっかけでボーリングを始められたそうです。
この川辺川ダムは、群馬県の八ツ場ダムと双璧をなす長期化したダム事業のひとつであり、
いまだにダム本体の着手には至っておらず、田中さんとしては複雑な思いがあるようです。

現在ではクローラやモノレールを使って運搬するボーリングマシンも、当時は全て人力で担ぐことが当たり前で、
山中での調査ともなれば、肩は皮がすりむけて血だらけになるのは普通のこと。
ボーリング屋というのはとにかく肩が強くなかったら出来ない職業でした。

また、針を刺すような冷たさの川の真ん中で、三脚と足場を火をたきながら組みましたし、
巻き上げドラムがない機械でモンケンを使う時には、ロープを引っ張る手に血マメを作りながら作業をしたりもしました。
このような環境のため、誰もがボーリング屋になれるわけでなく、
こういったダム現場を経てそのままなった人も多いのでは? と田中さん。

自分は若い時に、このようなことを多く現場で経験し、指導を受けました。
ショットクラウン(※)の使い方、メタルの砥ぎ方、、、ありとあらゆることを現場で吸収し、
ただ掘れば良いというのではなく、常に工夫をしながら、考えながら掘ることを学びました。

今、自分は何の目的で現場にいるのか?
この自覚をしっかりと持つことが大切です。

地質調査の仕事は、確実なコア試料を提供することです。
地味な仕事ですが、派手である必要なありません。
目に見えない所のものを、100%目に見える形にすること。 これが全てです。

これからもお体に気をつけて頑張ってください!


インタビュー

記  者:これまでに苦労されたお仕事はございますか?

田中さん:原発の地質調査などは管理が厳しいですよ。

コア採取率100%ですから、ダメだと当然やり直しとなります。
岩盤層のボーリングでは、コアの流出防止のためにも水を全開で送れません。
また、ダイヤビットが焼き付かないギリギリのところで掘削スピードと圧力を操作する必要もあります。
この送水管理とビット加重に対する考え方に基づいて、
ベストな掘削加減を自分なりに見つけていかなければなりません。

記  者:また、仕事のなかでいつも心掛けていることはございますか?


田中さん:ボーリングマシンだけでなく、ポンプの圧力計には常に注意を払っています。

例えば、ダムの地質調査で1cmの断層があったとします。
掘っていく時、このような断層があれば必ずポンプの圧力計が反応します。
ダム現場のような調査では、このたった1㎝の亀裂を見逃しただけでも、
将来的には大きな災害へつながる可能性もあるわけです。

この一瞬を絶対に見逃さないことです。

記  者:。なるほど、作業中はその集中力がとても大事なのですね。
本日は取材のご協力ありがとうございました!

(※)ショットクラウン

クラウンの一種で、直径2~3ミリ程度の特殊鋳鋼粒(ショット)を破砕しながら硬質岩石を切り進むクラウン。
メタルやビットの開発が進んだ現在ではまず使われることはない。
いわゆるショット掘りで、このショットはロッド内を通じて水と共に適量投入し、ショットクラウンの端面で砕かれ、
ショットクラウンの回転により砕けながら地層を切り削る方法で、一般に岩質の硬い場合に採用する。
送る水量調節が難しく、あまり多いとショット玉が浮いてしまい、切れ方が変わってくるとのこと(田中さん)

(※)スケート部

2000年とやま国体冬季大会の開催決定をうけて、1994に創設されたダイチ株式会社スケート部。
創業以来、皆さまから賜ってきたご厚情に何らかの形で恩返しをしたいという想いからとのこと。
現在は、日本女子スピードスケート界の中心選手として活躍する、田畑選手と穂積選手の2名が在籍。
日々、厳しいトレーニングに励みながら、国内外の大会に参加されています。(ダイチ株式会社 ホームページより一部抜粋)


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