有限会社 東地質調査 代表取締役
岐阜県多治見市希望ヶ丘2丁目100番地
TEL 0572-25-6673
東 昇 (Higashi Noboru)
「ボーリングの匠」第22回は、岐阜県にあります、有限会社 東地質調査の東さんをご紹介します!
東地質調査さんは、地質調査を専門とし、主に砂防(地すべり)関係の仕事が多いとのこと。
地元・岐阜県のみならず、全国からその依頼を受けるため、日本中でお仕事をされています。
ご出身は鹿児島県ですが、若いころは関東や東北で仕事をすることが多く、
当時よりその腕を買われていて、今でも各地からの依頼が後を絶たないそうです。
ようやくアポイントメントが取れ、駆けつけたこの日の取材も昼休みの数分間のみという忙しさ。
取材当日は、岐阜県・中津川市の山中で、100m深度の地質調査をされているところでした。
全てのコアを取ったあとは、最終的に86mmで20mの管を挿入し、
流水圧計など様々な計器類を挿入する予定なのだとか。
この周辺でも同様の調査が並行して実施されており、かなり大規模な地質調査といえそうです。
地質調査、特に地すべり調査の仕事には、非常に難しいものが多いにもかかわらず
現実は極めて低い単価水準にまで下がってしまっている。
内容について技術レベルの高い仕事はそれなりの評価をしてもらえるといいのですが・・・ と東さん。
ありとあらゆる建設・建築の基礎となるとても大事な地質調査によるデータ。
これらは、東さんをはじめとした多くの「匠の業」によって支えられています。
これからもお体に気をつけて頑張ってください!
記 者:これまでに苦労されたお仕事はございますか?
東さん:全国あちこちの現場へ行くので、その地層も様々です。都度、その現場に合った対応や準備が必要です。
例えば火山灰の土地。
ここで透水試験(※)の目的でボーリングとなると、泥水ではなく清水で掘る必要がありますね。
しかし、火山灰の層は非常に孔壁が崩壊しやすいため、
泥水を使用しない場合にはジャーミング(※)等のリスクが高まるわけです。
こういう状況では、しっかり元請けと相談しておかないと大事故につながる可能性もあるため、
事前に入念な打ち合わせをして、場合によっては地層にあった特別な対応をしなければなりませんね。
記 者:また、仕事のなかでいつも心掛けていることはございますか?
東さん:安全に、きれいに、丁寧な仕事をする。ことでしょうか。
現場を安全にこなし、かつキレイに仕事をするのは言うまでもありませんが、
最終的な提出物の成果品である「コア」の採取率には特に気を使います。
地層の状況を、見た目にもはっきりとした「コア」で示す必要があるのです。
これまでダムの仕事も多くこなしてきただけに、その点は非常にシビアに考えています。
また、とにかく多くのツールスを駆使し、新製品が出たらまず使ってみます。
そして、これらの作業をしっかりとこなせる内容のものであればどんどん採用していきます。
これまでもそうですが、特に難しい現場において、ツールスならその使い方、添加剤ならその濃度など、
うまくコアが採取出来た時には、どんどん周りに伝えていくようにしています。
記 者:。本日は取材のご協力ありがとうございました!
(※)透水試験
正式には「現場透水試験」という。
原位置地盤の透水係数を現場で測定する試験。
透水係数は、ダムや堤防の基礎地盤・堤体の漏水性・土留め工や、
トンネル掘削の排水計画・井戸の適正揚水量決定に必要である。
ボーリング孔を利用し、揚水、回復、注水等により、地下水位の変動を測定して求める。
ボーリング孔の先端に地下水が流入するストレーナー部分(試験区間)を設け、
孔内の水位を人工的に低下させ、その後の回復状況を測定する方法を「回復法」と呼び、
このときの時間と地下水位の回復量とから地盤の透水係数を求める試験。
水を注入する方法もあるが、一般的にこの「回復法」を「現場透水試験」と呼んでいる場合が多い。
(※)ジャーミング
語句解説につきましては、「ボーリングの匠」第4回を参照下さい。